キスして☆イケメンな彼
少しだけ揺れている唇を噛み締めながら言った。
「もう1回言ってくれるかな......」
嘘かもしれない。
冗談かもしれない。
由香里が笑って見過ごしてくれるなら。
「あのさ...。その前に1ついい?」
由香里は私の質問に答える前にそっと言った。
「う、うん」
私は小さく頷きながら由香里を見た。
確かに、私は“イケメン”は好きだけど。
見るだけがいい。
憧れだけでいい。
でも、“キス魔”はダメなんだ。
イケメンのキスは...。
私が倒れる以前にも問題があるんだって!!
「幸乃ってイケメン、好きだよね...?」
キス魔が苦手なことに矛盾したのだろう。
「そ、そりゃぁ...」
私は答えに戸惑った。
確かに好き。
でも、キス魔は苦手。
辻褄が合わない...よね。
「好きか嫌いかって言ったら?!」
由香里が身を乗り出していった。