キスして☆イケメンな彼
「…由香里?」
そっと声を駆け寄ってきたのは同じ学校と思われる男子生徒。
今、私たちは忘れていた。
抱きしめ合っている私たちはようやく今起きている現実に気がついた。
カラオケ店の目の前の道路。
メンバーを待っている前に先に入っていようという話の途中。
私は行きたくないと引き止めた。
そこで由香里が優しい言葉をかけ、
涙腺が緩み、友情が芽生え…。
そんな思考が回っているほど時間に余裕はなくて…。
前にいる男子生徒。
見たことないといったら嘘になりそうな…。
でも話したことはなさそうな…。
声はなんだか聞き覚えがありそうだった。
パッと我に返った由香里はその男子生徒と向き合った。
「ご、ごめんね。変なところ見せちゃって」
といい手を合わせた。
「いや、大丈夫だよ」
その彼はニコッと微笑みながらいった。
この笑顔…惚れたかも。
結構イケメンじゃない?!
胸がドクンと揺れた。
フラフラっと体を揺らしながら由香里にもたれかかった。
「だ、大丈夫?!」
小さな笑みを浮かべた由香里はやっぱりとも言わん顔をした。
か、かなり好みかも。
少し地味かな?と思ったらふと見せた笑顔にどっきゅーん!みたいな。
…ふ、不意打ち?!
「今日誘ったのってその子?」
太陽で照らし出されて茶色に見える髪。
「そう。予想通り?」
フフンっと笑顔を見せた由香里は私の方を見た。