冬恋。【完】
「まじ。私もう駅なんだけど……どうしよっかな」
『がんばれ』
がんばれなんて言われても……。
ここまでの230円と時間返せよーッ!!
「うぅ。分かったから電話切るねー。また明日」
『ほんとごめんね!またね!」
心、理由も話さないなんて、さては内緒で彼氏でも作ったか……。
駅から一人で歩き出す。
せっかくここまで来たから、何か買い物でもしようかと少しずつ歩き出した。
外は思った以上に寒く、息は真っ白。
温かい飲み物を買おうと、近くの自動販売機へと向かう。
「くっそ……なんでお金入らないん……」
自動販売機の前に、一人ジュースが買えずに苦戦している人がいた。
何回も100円玉を入れてはおつりの所から受け取り、それを何度も繰り返している。
その自動販売機、お金入れるコツがあるんだよね。
「もうぅ、何なのこれ」
……海さん?
どっかで聞いたことのある声だと思ったけど……本当に海さん?