冬恋。【完】
「ごめん東、今、親出掛けてていないんだ。
見て来るね」
「分かった」
階段を急いで降りていく。
流石に今回は階段を踏み外さなかった。
でも一体、誰だろう。近所の人……かな。
「どちら様?」
玄関を開けると、そこにいたのは海さん。
……何で海さんがここに。
「みずか!?」
海さんも私と同様にびっくりしてるらしい様子。
「なんで海さんが家に……??」
「大奏って書いてあったからまさかとは思ったけど……。何ていうか、引越し挨拶みたいな?」
みたいな?って……。海さんかわいいな。
「挨拶ですか?」
「うん。親に『自分の部屋片付け終わったんだったら近所の人に挨拶でもしてこいーっ』って言われてさ」
あぁ、それで家にも来たってわけか。納得。
「海さん。家、今親出かけてていないんです」
「あー、だからこんなに静かなわけか」