冬恋。【完】
「いいよ、緋未くるまで何もやることないし」
あぁ、そういうことか……。
ただやることがなかったわけか。
「じゃあ、お願いします」
「ん」
海さんはそれだけ言うと、私の髪を乾かしていく。
人に髪乾かしてもらったのいつぶりだろう……、なんだか懐かしい気がした。
「海さん、髪乾かすの上手いですね」
「妹の髪、つい最近まで乾かしてたのもあるなぁ、緋未が少し前に髪切ってから僕は出番なくなったけどね」
苦笑しながら言う海さん。
妹思いのいい兄なんだなって思った。
「はい、終わり」
そう言ってカチっとドライヤーの電源を切った。
「ありがとうございます~」