冬のための夢
しかし、分からないものだ。レバーを目いっぱい弾いて打ち出したパチンコ玉は、何故か一番端のチューリップに吸い込まれていった。

フィーバーとは違うが、確実に玉が増えていった。忠士にとってそれまで爆撃かと思われたパチンコ屋の店内の爆音が、心地よい音楽に聞こえてきた。

ゆっくりではあるが、赤い箱にパチンコ玉が溢れ初めてきた。
俺にだって“流れ”があるんだ!!

忠士は久々の高揚感に襲われているところに、不意に肩を叩かれた。
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