冬のための夢

ゲーセン 忠士の場合

守は予備校の授業は必ず出ていた。

出れば必ず成績が上がると思っていたからだ。
彼は一番後ろから三番目位の座席を狙い座る。
ここが目立たなく、時には眠っても大丈夫な席だった。         
座ってノートをとっていれば成績は上がる、守は本気でそう信じていた。        
しかし、成績は上がるはずがなかった。

その事は守にとっては本当に不思議だった。
偉い人の言う事を聞いていればこれまでの人生はやり過ごせていた。疑問なんか持ち始めてたらどうにもならないのだ。

例えば父がどうして消えたか?なんかを考えたって、答えは出ないし、母にあたることだってありえる。だったら、余計な事は言わず、言う事をただ聞いていれさえすればいいんだ。勉強していい大学に入って、面倒な事を忘れればいい!!。
それはきっと“寂しく”ない事だから・・・。

本心でそう思っていた。
     
だからこそ、スケジュール通り予備校に通って、授業が終り教室を出る守だった。
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