重力地獄の決闘
「対衝フィールドON、対ショック態勢」

 マックはそう言いながらジャッカルを思い切り左へ捻った。

 と同時に船体を駆け抜ける鈍い爆発音、2回。

 不気味な程、良くシートに響いてきた。

「左舷、A、B、Dブロック大破!左エンジン出力低下。主慣性制御フィールド停止、予備起動。船内火災消火完了。左エンジン動力停止、切り離します。全隔壁80パーセント閉鎖」

 キムがすらすらと損害状況と対処法を告げていく。

「隔壁閉鎖が80パーセント?後の20はどーした」

「ミサイルの直撃で船体ごと持ってかれました。左舷後部は全滅です。動力ジェネレーター出力60パーセント、減少中。補助動力に切り替えます。現在、高度3千メートル、対気速度マッハ1.6、加速中」

 次から次ぎへとキムの口から絶望的な状況が告げられる。

 マックのパイロットグラス内の高度計はどんどん下がっている。
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