重力地獄の決闘
「バーニア、全開」

 軋み、捩じれ、振動し応力限界に達した船体構造材の崩壊の序曲を耳で聴き、身体で感じながらマックは自分のものではないような重い腕で船体下部の高出力バーニアのスロットルレバーを目一杯押し込んだ。

 ジャッカルの下部に爆発したのかと錯覚するようなプラズマ噴流が直ぐそこまで迫っているトロンⅡBの大地に叩き付けられた。

 一瞬、ジャッカルの船体が浮いた。

「!」

 マックは僅かな浮遊感で目に歓喜と希望の光を浮かべた。
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