重力地獄の決闘
 マックはパイロットグラス越しに高度をチェックした。

 1万メートルを切った。

 すでに宇宙港の誘導ビーコンは捕捉している。

 オートパイロットにしてジャッカルのメインコンピューターである『BEM』に任せてもいいのだが、惑星降下の時は必ずマニュアル・モードで降りるのがマックの習慣であった。

 昔、何かあったらしい。

 そのお陰でBEMは航法に関わるほとんどの能力をトロンⅡBの凶暴な重力に対抗する慣性駆動系の制御に回すことができた。

 ジャッカルは不可視の慣性制御フィールドを1杯に展開しながら、ゆっくりとトロンⅡBの地表へ降下していた。

 そして、そのジャッカルを遥か天空から狙っているものがいた。
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