重力地獄の決闘
 しかし、強制力は1番低いDクラスである。労働局へ正式手続きをした長期休暇を盾にとって強制力の無力化は出来るのだ。そうすればキャンセル料すら取られない。

 もしジャッカルで来ていなければ回ってさえ来なかったという程度の仕事である。

 断れなかったのは、長期休暇の後に入っている仕事がトロンⅡBにあり、その必要経費として、ジャッカルの運行費用を申請していたのである。

 労働局の規定ぎりぎりの申請で、ここで、飛び込みの仕事を断れば、労働局の機嫌を損ねて、ジャッカルの運行費用を自腹で切らねばならないかもしれない。

 マックがジャッカルを運用できるのも、〈何でも屋〉の仕事をするために使っているからで、外洋宇宙船の運行費用というのは、馬鹿にならないほど高いのだ。

 そう考えると旅費をけちってジャッカルで来たマックにも落ち度はあるのだが、そういうことは気にしない。
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