一日遅れのXmas。
「おい、颯太。着いたぞ?」
いつの間にか眠っていたらしく、姫川の声で目が覚めた。
「お前ん家、こんなにデカいのかよ」
「まあ…。親父、スポーツ店経営してっから。今は家には誰も居ねえけど…」
そう言って家の扉を開けた。
案の定、やっぱり親父とおふくろは居なくて家の中は真っ暗。
ただ、カーテン越しに隣の家の光が部屋の中に入ってきていた。
「姫川、こっち」
姫川を連れて階段を上がり、自分の部屋に連れて行く。
「ここ俺の部屋だから、好きに使って。じゃあ俺は下で寝るわ………」
「さんきゅー。おやすみ」
今年一年、家に帰る余裕もないほど野球に打ち込んだ。
まあ…それが良い結果に繋がったんだ。
家に帰る余裕もないってことは、苓那とも全く会ってない。
そんな俺に別れを告げるのも当然か…
ふとそう思えてきた。