春色恋色

 その時は入学式も終わって
帰ろうとしていたときだった。

突然後ろから背中を叩かれた。

その犯人は小学校から
ずっと一緒の北澤唯。

「あんたねぇ、入学式なんだから
 シャキッとしなさいよぉ」

 後ろに唯のお母さんを見つけて
少し頭を下げてから、唯に向き直った。

「もう終わったからいいじゃん」

 私の言葉に呆れたような顔をする。

「どこに出会いがあるか
 解からないでしょう?!」
 
 人差し指をたてて熱心に出会いについて話す。
それにお母さんも呆れている。

「ホラ、唯。琴葉ちゃんに迷惑が掛かるでしょう?」
 
 そう言って帰ろうとする。
それに唯は文句を言っている。

「はいはい、今行きますよー」
 
 お母さんに言うと私に手を振って走って行った。
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