SWEET×HOME
1st 一人暮らしを始めます
なんてことない、夏のおわりの暑い一日だった。
夏休みもあと2日で、あたしは残りの夏休みを満喫しようと、クーラーのよくきいたリビングのソファーで漫画を読んでいたところでした。
そんな時、お母さんがダイニングテーブルに座りながら、おもむろに口を開きました。
「あんたさー、……したい?」
いつも何か話すときのお母さんはとてもうるさいのに、何故このときのお母さんはこんなに落ち着いていたのか。
それはもちろん。
「あー、うんうん」
あたしは、漫画に集中していました。
イコール話は聞いていなくて、適当にうなずいたんです。
これはあたしのわるい癖のひとつで、お母さんはきっと、このときを待っていたんだと思います。