神が支配する世界
血
二人が角を曲がると、悠也が椅子に座っているのがみえた。
悠也は頭を下げて、祈るように手を組んでいる。
母と海斗はゆっくりと悠也に近づいた。
近づくたびに、悠也の服に染み付いた血がはっきりと見えてきた。
服だけではなく、顔や手までも血で染まっている。
「悠也…」
海斗が悠也の名を呼ぶ。
それに気付いた悠也が顔を上げた。
「海斗…!?なんで…ここに…」
悠也がすごく驚いた様子を見せた。
「なんでって…悠也から連絡もらって…」
そういうと、悠也が携帯を取り出す。
「間違えた…叔母さんに電話しないと…」
「悠也くんは、ここに居てあげて…私が電話してくるから…」
母は立ち上がる悠也を優しく制した。
「ありがとうございます…」
悠也は、ゆっくり座った。
それを見た母は、悠也の叔母に電話するためその場を離れた。