光の子
「それでね。
ひいおじいちゃんが死ぬにいたったドミノ倒し、
その最初の一枚を倒したのは誰なんだ、って問題が生じるわけだ。
家族のみんな、その最初の一枚が自分のような気がしたってわけ。
私にとっては、食べれば、の一言が死へのスタートに思えたし。
親たちは、老人と子どもを置いて温泉に行ったことが、引き金になった気がした。
なんとね、餅を食べたがった、まだ五歳だった妹までが、責任を感じたのだよ。
みんなが、ドミノの最初の一枚になりえた。
考えれば考えるほど、思い返せば返すほど。
自分が死なせたように思えた」
「でも、そんなの」
広香は何か言いかけたけれど、最後まで言えずに終わった。