光の子

朝陽のふたり




矢楚に好きだと言われた夜から二ヵ月が過ぎ、夏休みも終わりに近づいていた。


丸一日をクラブでサッカーに打ち込む矢楚のスケジュールに合わせ、二人はいつもの広場で、朝早い時間に会うことにした。

待ち合わせ時間は徐々に早まり、八月には六時半になっていた。

柊太も母もまだ寝ている時間。

広香は澄み切った朝の空気を吸い込み、
真新しい今日の輝きのなか、広場へ向かう。

白いパフスリーブのポロに、桃色のふわっとした刺繍スカートが、広香の高まるときめきを初々しく包んでいた。

金色の朝陽を浴びて、矢楚がストレッチをしているのが見える。
ターコイズ色のウェアは、景色の中で映えていた。

「矢楚!」

「おはよ」


矢楚の髪が陽に透けて金色に輝き、穏やかに広香を迎える笑顔を、清らかに包んだ。




< 83 / 524 >

この作品をシェア

pagetop