【長編】FOUR SEASONS
Spring 想いの行方
「高森優華っている?」

次の日の昼休み。俺は1-Bの教室の前でたむろっている男子生徒を呼び止めた。
うちの学校は各学年で棟が違う。
1年生は東棟、2年生が西棟、3年生が南棟、北棟は先生の教官室。
そして別館に各教科ごとの特別室がある。

学年ごとに制服のタイの色が違うから、自分の学年以外の棟に来るのは注目を集める。
特に、俺は1年生の間でも既に有名らしい。

「あ、高森ですか? ちょっと待って下さい。見てきます」
男子生徒がひとり教室を覗き込み、『高森っているかあ? 2年の先輩が来てるけどー?』と叫ぶ。

それまで教室で一塊になって騒いでいた、女子のグループが一斉に入り口に立っている俺に視線を注いだ。


一瞬、固まる彼女達


次の瞬間、教室は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。

うるせぇ…。

…ってか、騒ぐより先に、いるかいないか位答えろよ。


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