【長編】FOUR SEASONS
孝宏先輩は余り笑わない。

学校でも自分から人に話し掛けたり、自分から行動を起こしたりしない。
だから、先輩があたしのクラスに来たり、自分からあたしに声をかけた事に誰もが驚いていた。

そして、それが例の事件の原因でもあったらしいって、後から麻里亜が教えてくれた。

普段は誰とも関わりたくないという風に、仲の良い数人の先輩以外とはあまり話もしない。
人を拒絶しているから、余計にミステリアスな雰囲気が出ているのかもしれない、って最近感じるようになった。

それでも、実際に話してみると、冗談だって言うし、もちろん笑う事だってある。
人前で笑顔を見せる事が少ないだけにその笑顔は本当に見惚れてしまうくらい綺麗なの。

一度、あたしが言った冗談に先輩が声を立てて笑った時なんて、傍にいた人みんなが驚いて振り返ったくらい。

とても優しい、5月の風みたいな爽やかで温かい笑顔だった。

とてもとても、綺麗な笑顔だった。

あんな笑顔が出来るのに先輩はどうして笑わないんだろう。

もっともっと、笑顔でいて欲しいのに。

気がつくと、どうしたら先輩に笑顔でいてもらえるか

そんなことばかり考えている自分がいた。


それでも、それが恋心だなんて…


自分では思っていなかった。



++ 恋心 Fin ++


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