狗喰い~刻のまにまに~
 ちくしょう! ……お嬢……河原でさばかれ、煮込まれ、鍋に湯気立てていただろうシロ。おまえんとこの使用人が鍋ごと買ったと友人が言った。

 信用のおける奴だった。

 だから、それを知って俺は、はらわたが煮えくりかえったんだ。

 てめえが喰ったくせに。お嬢! お嬢!

 ……俺のシロを喰っちまったくせに、自分の犬はくれてはやらぬと、ぬかしやがった。

 シロは何のために産まれ、生きてきた?

 俺に金が、力があったなら! 

 死なせはしなかったのに! 

(ちくしょう!)

< 11 / 13 >

この作品をシェア

pagetop