それはいまもあざやかな……
 ボクは泥だらけでも公園で遊ぶ幼児みたいなもんだったし。



 ママはボクを励ますために散々涙を流した。



 パパのママは歌を歌えなくなってしまったが、あの歌だけはいつまでも心に残っている。

 ボクは最近、気が付いたのだけれど、あれからママはあのストールをきれいにたたんで防虫剤まで入れて桐ダンスにしまってあるらしかった。



 それはボク達をつないだ魚座のシンボルのように。



 大切に、大事に、とってある。                                       


 そして……十六で赤ちゃんを産んだ姉が、今日は帰ってくる。



「もう、窓を閉めるわよ」


 
 ぴんぽーん!



「姉さんだ!」



 腕には未だ乳児の子どもが抱かれて……



「今何カ月? へえ、ずいぶん長くお乳吸わせてるんだ」



「さしずめあたしのバストは携帯食料よ。でも備蓄がいるの。ママ、お願い」



「ええ、今日はおいしいもの、いっぱい食べて、いっぱい持って帰ってね」



 ああ……こんな幸せってあるだろうか。




 みんな、戻ってきたんだ。









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