シュガースパイスな君

あたしは日を重ねる度に
ネガティブ思考になっていって
学校にも行かなくなって、家から一歩も出なかった。

時々、ていうよりほぼ毎朝、恵梨香とか隆雅が迎えに来てくれたけど、3回に1回くらいしか玄関まで行かなかった。

それでも2人は時々、開く扉に満面の笑みを見せてくれた。
放課後は、家に来て、上がってもらって少し喋ってそれで帰っていく。

来てくれるのは嬉しい。
けど、恐かった。
どこかへ行くのが。

だって、家から出たときに、誰もあたしのこと知らなかったら…………。

そんな風に思ってたから。


その日、恵梨香と隆雅が来て
あたしが知らない間に
大地の傷はもう治ってることを教えられた。

「若いと治るのが早い。」

恵梨香によると医師はそう言ったらしい。そして

「傷が治ったし、世間に関する記憶はあるようだから、退院できるけど…琥珀さんには少し酷だよね……。」

とも言ったらしい。

だから、
あたしと大地で生活の場をどうするのか、
それを2人で相談して決めてほしいと言うことだった。

あたしは大地が決めればいいと思った。けど、恵梨香は


< 59 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop