オレンジ色の校舎





少しだけ胸が痛いのは、瀬川くんとの思い出がありすぎるから…だよね?



────────…



次の日のお昼過ぎ、あたしはみんなより先に病室に向かった。一馬くんに会うために、ね。



「こ、にちっは」



「お前、日本語おかしいよ」



だって…緊張しちゃうんだもん。泥棒のように一馬くんの隣に座った。



「こんにちは、遥ちゃん」



トシさんは昨日より随分調子が良くなったみたいで安心した。



「退院できるといいですねっ」



「若いコがたくさん来たら、おじさんも寝たきりじゃいけないからねー!」



がはは、と笑う姿は以前と変わらなかった。退院できることも嬉しいんだろうなぁ。



少しして医師が来て退院が告げられた瞬間、トシさんは大喜び。



「おじさんやったっスね!退院おめでとうございますっ」



そしてあたしの後に来たたっちーは、仔犬みたいにトシさんに抱きついた。






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