Door

君のドア

―そういえば、最近会わないけど、彼は元気なのかなぁ。

502号室をいつも通るのにあれから全然会っていないのだ。

最近少しだけ前向きになれた気がするから、そのお礼に一回尋ねてみよう。






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ピンポーン。



少し戸惑ったけれど、ベルを押してみた。

「はーい。」

意外にも留守じゃなかったみたいで胸が高鳴った。



「あの、503号室の…」

そこまで言うといきなりばたばたと音がして

『ちょっと待ってて』

そう言って簡単にドアは開いた。



久しぶりに会った彼はパジャマに上着を羽織ったまま。

「あ、ごめんなさい。忙しかったですか?」

私はそのままの気持ちでそう尋ねた。



『あ、ごめん。久しぶりに家にいたもんだから
来客で、しかも君に久々に会えて嬉しくて。
でも実は、この間の雨に濡れて風邪ひいちゃったんだ。』

情けなさそうに言う君が可愛くて、思わずドキっとした。
でもタイミング悪すぎ。

「風邪、大丈夫??
あれからいろいろあって最近だいぶ元気になったから
お礼も込めてリンゴ買ってきたの。あと季節はずれだけどみかんも。」

私はリンゴとみかんが入ったスーパーの袋に入れて
自分の部屋に戻ろうとした。




『待って!』


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