Door

…。

え?という表情で私は彼を見る。
なんで?と言いたいように。

『せっかくだから入りなよ。もう熱もだいぶ下がったし。』

でも…という顔をしながら、その押しに負けて
初めて君の家のドアの中に入る。

テレビやパソコン、ほとんど料理しないのか
コンビニ弁当の食べたゴミが捨ててある。
生活空間以外、ほとんど何もない、部屋。



「あの、名前、なんていうんですか?」

そういえば私は名前を知らない。


『ああ、俺、海斗っていうよ。よろしく。』

忘れてたって顔しながら笑って私にも聞く。


「あ、海斗さんですか。私は愛子。よろしくお願いします!!」

思わずお見合いみたいになってしまって
海斗さんは「さん付けと、敬語、いらないから」
って笑った。


『あ、なんか飲む?』

「あ、うん。」

そう言いながら彼は私に飲み物を作りだした。
本当は私がするべきなのに。


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