Door
「はい、どうぞ。」

『あ、ありがと。』

リンゴと皮を向いて食べやすくしたみかんを彼に差し出した。


「そういえば海斗って何してる人なの?」

『ああ、学生だよ。今4年で、シューカツ中。
今日も説明会だったのに。
愛子は?』

「私はどこにでもいるようなOLしてる。
でも上司からいつも注意されていやになっちゃう。」


それからはたわいない話をして笑っていた。

お互い知らないことばかりだから
話題は尽きることなく続いた。

それでわかったのは彼は私より3歳下で
初めて出会った月からここに住みだしたとからしいこと。
学生寮じゃないのは門限が嫌だったんだって。

シューカツじゃ朝一で家を出る私より遅いから、
私たちはどうやら3ヶ月以上会わなかったみたい。


そして海斗は言った。

『今度さ、風邪なおったらなんか食べに行こっ』

無邪気に笑う彼についつい何も考えずに

「うん。」

って笑った。

それを聞いて、くしゃくしゃって笑う海斗が可愛くて

「海斗って可愛いね」

っていたずらっぽく言うと
今度は顔を真っ赤にして笑った。
< 25 / 50 >

この作品をシェア

pagetop