ハク息がシロイ


「刹那ちゃん、家どこら辺?」
「ん?そこら辺」
「この辺に住んでるの?」
「ん、知らない」
イライラしていたので聖くんにあったってみた。すると
「ねぇ、何でそんなに冷たいの?」
聖くんは一歩前にでると顔を覗き込んできた。
「別に、普通だよ?」
「ふーん。でも刹那ちゃん冷たーい」
「全然。聖くんに接する態度としては普通だから安心して」
にっこりと笑って言ってみた。
「あんまり冷たくすると、俺 凍えちゃう。」
聖くんは急に密着してきた、と思うと手を引っ張られて 気づくと目の前には聖くんがいて私の後ろは壁だった。
「え・・・。何・・・?」
私は状況が呑み込めなかった。
「俺、冷たくせれて今超寒いんだけど?」
「だから・・・?」
「もし俺が凍えた時には、刹那ちゃんがあっためてくれるよね・・・」
聖くんは笑いながら言ったけど、顔は笑っていなかった。
「私じゃなくて彼女にあっためてもらえばいいじゃん」
私は聖くんの顔を見ないで言った。というより見れなかった。
「彼女?あぁ、一度相手してあげた子のこと?」
聖くんの顔が少し怖い。
「俺にとっての彼女って、俺が好きで俺のものにしたい女の人のことでしょ?」
「・・・そうなるかもね・・・。」
私はまだ目を合わせない。
「言っとくけど、そーゆー人いないから。」
何て最低なんだろう。さっきの会話上、普通の知り合いというほどじゃなかった。
前にも家に泊まったとか、何をしたのか、だいたいさっきの人の態度を見れば予想がつく。
「さっきから、何で俺をみないの?もしかして惚れちゃった?」
私はもう我慢できなかった。
「惚れる?冗談じゃないわ!あんたみたいなチャラ男惚れるわけがないじゃない!」
言い終わって聖くんの顔を見たとき、初めて自分の発した言葉の意味をようやく理解する。
聖くんは固まっていた。私は耐えきれなくなって、
「ごめんなさい」
と言ってその場を去った。
そして私は後悔する。いつもいつも・・・。
私は最低だと思う。
家に帰って飲んだ緑茶は少し苦かった。
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