ある17歳における不明瞭な愛についての考察




重度の彼ばかだな、あたし。







そんなことを思って一人で笑ったら、

「なにニヤけてんだよ」

って有斗も笑った。




なんか、それだけのことがすごく嬉しくて……幸せな気持ちになる。
有斗がいてくれて、ほんとのほんとに、よかった。









「……ほい、大正解」


有斗がぱっと咲かせた、おっきな「まる」。
ノートの上の、あたしが付けた他の丸よりも少し斜めがかっている。


有斗のまるだって、一発でわかる。





嬉しいなあ。







「数学とか、簡単すぎて爆発しそーだし」

なんて思ってもないこと、あたしはいつもの調子で言ってみるんだ。



そしたら、いつも有斗はあたしに何かしら言ってくれて、笑いあう。



「うわっ、お前どの口が言ってんだよ?
もう絶対教えてやらん」

「いいもん、教えさせてやらん」


あたしはいつもやるように有斗にファイティングポーズをとった。

広げられたおっきい手のひらに、ぱし!と右ストレートを打ち込むと、

有斗は「やっぱり弱すぎだわ!」って笑った。








国語が苦手な有斗くんはきっとわかんないかもしんないけど、問題です。



「思ってもないこと」を言う
「右ストレート」を撃つ

この時のあたしの心情を、「照れ隠し」の語句を用いていいなさい。









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