ある17歳における不明瞭な愛についての考察
「お、おにごっこ?」
予想外の一言に思わず聞き返しても、千往の背中は俺に返事を返してはくれない。
おにごっこと言えば、アレだ。
スタートの合図でオニは他の人を捕まえるやつ。
「俺、自転車突いてんだけど」
…明らかに不利だろ。
しかも、おおよそ登校中にすることじゃないし。
「なあ、聞いてんの?」
俺はもう一度、千往に呼び掛ける。
「……有斗がオニね」
ただぽつりと言った千往。
変だ。
いつにもまして変だ。
「スタートの合図はあたしがする」
淡々と言い連ねていく千往は、俺の前で足を止めた。
遅刻の心配はないけど、こんなに学校へ行くのに時間がかかっているのは初めてだ。
通学路の中の横断歩道、3つのうちの二つめ。
赤信号、交通量もそこそこ。
………歩行者は、俺達ふたりだけだ。