「ワタリガラス」
夕方の公園でワタリガラスは一人だけ、沈んでいく夕日を見ていました。
これから、夜になります。
夜はワタリガラスの身体の色と同じ色。自分を隠してくれる。誰も気づかせてはくれない。気づいてはくれない。
そんな時間が、彼女にとっては安心できる唯一の時間だったのです。
少女は、明日も来る、と言っていました。
自分がその約束を守る事はない。どこか遠くへと飛んでいってしまったって構わない。けれど、なんとなく。次の日にあの少女がどんな反応をするのかが気になりました。
きっと、あの少女にだって家族がある。家族に教えられる事でしょう。
その鳥は不幸を齎(もたら)す存在だから。だから、近寄る事すらいけないことなのだと。
それを考えて、どうせなら嫌われてしまってから飛び立とう。石を投げられてから行ってしまおう。そう、決めました。