駆け抜けた少女ー二幕ー【完】

土方達が心配していることは、大袈裟ともいえなかった。

稽古後の矢央を捕まえて風呂に誘おうとしたり、軍事の勉強と言っては部屋に連れ込まれそうになったり。


危険が及ぶ度に、誰かが助けてくれて難なく終えてはいたが、それもいつまで逃げおうせるか分からない。



土方は新撰組のためと強調するが、やはり矢央の身を案じ、永倉等から相談を受け、近藤に相談した上での結論が単独行動はさせないといいものだった。



「誰かと一緒に必ず行動すること。 面倒かもしんねぇが、外出時は必ず俺か山崎に告げてから行け」


命令口調ではあったが、腹が立つことはなかった。

土方も近藤も自分の身を案じてくれているのだと、その表情を見て分かったから。


「じゃあ早速なんですけど…」

「あ? 何か用事か?」

「醤油が切れたから買い出しに行きたいんですけど、どうしたらいいですか?」


そう問われた土方は、暫く考えた結果、膝に手をつき立ち上がる。


「え? もしかして…」


まさか土方自ら着いてくるのか?


「ああ? 文句あんのか?」


どうやら、そのまさからしく、見上げてくる矢央を睨む土方。

このあと特に用事もない土方は、わざわざ誰かを呼びつけるより自ら動いた方が良いと思った。


しかし矢央は、嫌そうに表情を歪ませている。


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