駆け抜けた少女ー二幕ー【完】

第六話*告白


“本日をもって新選組隊士を除名する”、土方に言われた言葉が何度も何度も脳裏を巡る。


土方を呼び続けても、土方が障子を開けることはなかった。


何処をどう歩いて今の場所に辿り着いたか分からない。


悲しいのか虚しいのか、どんな風に今の感情を表せばいいのかも分からない。



「矢央」



その声にゆっくりと振り返ると、複雑そうに微笑む永倉がいた。

首の後ろに手を当てる永倉の姿がぼんやりと歪んでいく。


ああ、泣いてるんだ。と、たった今気がついた。



「土方さんが心配してたぞ。お前この辺の地理分かんねぇんだから迷子になるぞ」


強く冷たい風のせいで頬に流れた雫がパリッと乾いた。


「…私は、邪魔なんですか?」

「………」

「女の私は、やっぱり足手まといだから…新選組にいらないってことですか?」



そんなことはない。
土方が矢央を邪魔者扱いするはずかないことは、矢央自身分かってる。

それでもこの胸のモヤモヤに何か理由をつけたい。


邪魔だから必要がないから、此処を離れなくてはならないのだと。


「逆だろ。必要だから、大切だから、失いたくねぇから手放すって決めたんだろ」

「…やだなあ。邪魔だって…必要ないって言ってくれなきゃ…私困るじゃないですか~」



空を見上げると鼻の奥がツンとした。






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