駆け抜けた少女ー二幕ー【完】

***


会合が終わった後、屯所の門前の雪かきをしていた矢央は土方に呼ばれ部屋へと向かった。



「土方さん、入りますよー」


早朝から幹部だけが集まった会合があったのを知っていた。


そしてその後、どことなく浮かない顔をしている仲間達にも気付いていた。



「矢央、お前に一つ頼みがある」


部屋に入ってきた矢央を見もせずに、文机に向かったままの土方の背中がいつになく頼りなく見える。


土方が矢央に命令以外のことを言うのは初めてで、矢央はそれを断ってはいけないと感じた。

何故なら、それが山南に関することだったから。




「山南さんを見ていてやってくれ」

「はい…」



部屋を後にした矢央は、まだ降り続ける雪を見上げた。


ちろり、ちろり。


年明け早々あまり良い展開ではないことに僅かな不安を覚えるが、矢央はキュッと表情を引き締めると廊下を勢いよく歩き出した。


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