駆け抜けた少女ー二幕ー【完】




一体誰だ(?)と、笠の下の顔を見ると、最初は分からなかったが良く見れば見知った顔だった。

薄汚れた肌と以前はなかった髭のせいで、若干老けて見えた男は―――


「か、桂さん!?」

「しっ! 騒ぎを起こされると、君を殺さなければならない。 だから黙っててくれよ」


ほんの少し騒ぎになりつつある状況で、今や京都中を逃げるしかない桂がどうしてこんな目立つ行動を取ったのか。


もしや敵討ちかとも思い、表情を引き吊らせる矢央。



「おいお前、白昼堂々と手荒い真似してんじゃねぇよ」


どうにかして逃げようと矢央が腕に力を入れようとした瞬間、店の暖簾を潜って現れたのは原田左之助。


矢央はホッと息をついたが、そんな矢央に原田は背筋が凍るような笑顔を向けながら拳を鳴らしている。


「よお、こんなとこで働いてるたぁどういう訳なんかは後でゆっくり聞くとして。 ――総司、お前も隠れてねぇで出てこいよ?」

「あらら、バレてましたか?」


悪びれる様子もなく現れた沖田と原田を見て、矢央は別の意味で恐怖を感じた。


ありきたりすぎじゃん! こういう展開っ!


「おやおや、ほんと矢央さんは有名処に好かれちゃいますね」

「嫌味かっ!!」

「いいえ。 人気者は大変ですねって同情です。 さあ、桂さん矢央さんを放して下さい? 彼女に何かあれば、私がお説教を受けちゃうじゃないですかー」

「お前ら土方さんに内緒で出てきたんだろ? ならどっちにしろ、説教はくらうわなっ!」


会話の途中に飛んできた刃に 「危ないっ!」 と叫んだのは桂ではなく矢央だ。



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