黒と白
しばらくは夜に神社に出かけ、朝方家へ帰る生活を続けた。
もう進めるかなと思えたのは、一歩踏み出すと決めれたのは、あの子に会えたからだと思う。

何時もの時間、何時もの松の木。
あの雨の日から、もう何度もここへ来ている。私の特別な場所。
そこにあの子は居た。
松の木の下に座って、じっとこっちを見てた。
マネキンしか居ない世界で、あの子は人だった。酷く悲しい顔をして私に笑いかけた。
あの子は小さかった。
小学4年生くらいに見えたけど、名前も歳も聞かなかった。

「お姉さんも悲しいことがあったの?」
あの子は横に来てと、私を手招きした。
「悲しくはないよ。苦しいの。」
悲しいわけじゃない。苦しい。ただ苦しい。
この世界の空気が。孤独か。苦しい。
「二人だけの世界だね」
あの子はそう言って今度は嬉しそうに笑った。
「あなたはマネキンじゃないのね。」
私の言葉に、一瞬あの子はきょとんとしたけれど、直ぐに笑顔になって、そうね。と返した。
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