alternativeⅡ

国連陸軍イギリス支部

その日、国連陸軍イギリス支部の大会議場には多くの者が集まっていた。

支部の司令、士官、下士官を問わず一般兵士、衛星回線を通じて極東支部横須賀基地の米内 雅光大佐や、1984年のアサバスカ殲滅作戦で生き残った人類初の完全抗体保有者、現在の国連軍モスクワ管区司令であるディック・グローレン少将も参加している。

この会議室で、とある軍の研究者が重大な発表をしようとしていた。

「まずはこれを見ていただきたい」

白衣を纏った研究者の男性は、グラフをプロジェクターに映し出した。

「これは1980年に月面基地にて地質調査チームが月面に生物の存在を確認、ファーストコンタクトをとった時に測定した、ＡＯＫの鳴き声を数値化したものです」

プロジェクターに映し出されているグラフは幾つかある。

研究者はその中の赤いグラフを指し示した。

「特に注目していただきたいのはこのグラフ…急激に数値が上昇しているのがお分かり頂けると思います…この数値は、人間にも測定される事があるもので…主に恐怖や不安を感じた際に高い数値が出ます」