alternativeⅡ
「つまり…どういう事かね?」

米内大佐が問いかける。

研究者は神妙な表情を浮かべた。

「これまでAOKという生命体は非常に好戦的で凶暴、殺戮を好む傾向にあると考えられてきました。しかし我々の長年の調査の結果、AOKは頻繁にこの恐怖や不安を感じた際に測定される数値を見せている。即ち…」

彼はかけている眼鏡越しに会議室の面々を見渡した。

「AOKは我々が思っている以上に、臆病で警戒心の強い生命体ではないかという事です」

AOKが臆病?

これまで誰も考えた事もなかった説に、会議場はざわめく。

臆病だからこそ群れで行動する。

臆病だからこそ過剰に防衛本能を見せる。

臆病だからこそ必要以上の攻撃を加えて身を守ろうとする。

AOKは好んで人類に戦いを仕掛けているのではなく、むしろ人類という存在を恐れるがあまり、保身の為に人類に攻撃を加えているのではないかというのだ。

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