遠恋


桜が舞う4月。

あたしたちはそれぞれ進級した。
お互い受験生になり、メールもできない日が続くようになった。


「今日も返信なしっ」
3日くらいメールは途絶えていた。
あたしは高校受験だけど、勇太は大学か就職だもんな…。
将来にかかわることだし仕方ない、そう思っていた。


毎日メールができない、それはあたしにとって苦痛だった。


久々の電話。
あたしは明日から修学旅行がある。

「2泊3日」

携帯を持っていけないから、その間は連絡がとれない。

ねぇ…勇太も寂しい?

「勇太~、あたし連絡とれないなんて寂しすぎて死んじゃうよ~っ」
「俺もっ!!」
「はぁ…最悪…」
「中3の修学旅行は1回しかないねんから楽しんで来いやっ☆」
「うんっ、ありがと!!」

勇太はいつもそう。
あたしが「寂しい」って言えば、その寂しさなんて吹き飛ばしてくれるような事を言ってくれる。


そんな勇太のことをあたしは…捨てた。
それは簡単な理由だったんだ。


勇太、ごめんね…
全部あたしの勝手だったんだよね…

付き合うのも、別れるのも…全部。

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