Virus ―Another Story―
―北アメリカ―


ここは北アメリカ、郊外の小さな街。


時刻は午後6時過ぎ……


普段なら、公園でジョギングする人やデートでベンチに座るカップル等が賑わせている。


だが……


そこに居るのは明らかにそんな事をしていられるような状態ではない“者”だった。


腕や足が明らかに曲がった者や腹に大穴を空けても尚、歩いて…いや、さ迷っている。


そう。


彼等は紛れもない“死者”だった。


それが動いている。


ただの死体だったはずのそれは仲間を増やし、肉を喰うだけ化け物に変わったのだ。


綺麗で可愛かった白いベンチは、今は血で赤くなってしまっている。


たった数時間で平穏だった小さな街は死者達が支配する死の街に変わってしまっていた。
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