パズル


「それからずっとジャックに背をむけてちゃ駄目だからね?」


「……うん」


「…いい子ね…あぁートムが立派になったとこ見たかったな」


「ガキ扱いしないでよオレはもう立派になった!!」

反抗しながらも泣いている

「…ジャック…トムを頼みます…」

「あぁ…」

「そうだ、ジャックに言っておきたい事があるの」

「なんだい?」


まだ…まだ泣くな…


レイチェルはわたしにそっと耳元で囁いた

――――――――


「レイチェル!!」


「フフッそうだと思わない?」

「あぁ…やっぱり君はわたしと違う考えを持っていてとても素敵な人だ…」


「ありがとう…」

「はは、ちゃんと言えたね」


もう駄目だ…レイチェルの顔が見えない

大粒の涙が止まらないんだ


「レイチェル!レイチェル!!逝かないでくれっ!!」


「…私は…ずっといます」


もうレイチェルの瞳は
閉じかけてる…


「トム…愛してる」

「オレも愛してるよ姉さん」


「ジャック…ありがとう…愛してる」



最後の力を振り絞って
言った言葉だ…とても掠れてる



「レイチェル…愛してる
…誰よりも一番愛してる!」




トムが握っていたレイチェルの手がずり落ちた


「…ねぇ…さん…」



「姉さん、はは…何?置いていかないって…」


「……ぅ…ね…さん…」



冷たくなったレイチェルの手を必死に握りしめるトム


わたしはその場に崩れ落ちた


トムの声にならない
残響が家中に響いた


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