Voice
「…お前さ、男のくせに声高いよな。」










"ギクッ"







鋭いとこ、ついた。

自分なりに、結構低め意識してるのに

…これでも高いって…。





これ以上、どうしろと言うのだ?!



私が、困り果てていると、梓は、笑って言った。







「何、ショック受けてんだよ。

別に、高いのが悪いとか、

そんな事言ってる訳じゃねーぞ。




ただ、俺の親友も声が高い方でさ。





…遠夜って言うんだけど、

モデルとか、やってんだよ。





お前、入りたてだし、話したこと無いと思うが、

会ったこと位、あるだろ?」










「…隣りを通った事くらいなら。」








私が、そう嘘を答えると、

梓は、ニコッと笑って言った。









「アイツな、俺の”親友謙ライバル”なんだ。


すげぇいい声してんだぜ?




お前とは、また違うが、

一曲だせば、いい線までいくと思うんだけどな。





俺が薦めてるのに、

何故か社長が

デビューに反対するんだよ。」









そ、そりゃそうだ。





だって、遠夜はベルとして、

とっくに、デビューしてるんだものね。





一人で、二人の歌手やるなんて

…遠夜が可哀相だよ。










「ふぅ。」














私が息を着くと、




「ん?

ため息なんかついて、どうした?

疲れたのか?」







梓は、心配そうに言った。








「別になんでもない。」








大変だなぁ。


社長や遠夜も。







そんな話をしていると、

突然、その”事件”は、やって来た。





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