Voice
…それにしたって、この人。

どれだけ売れるか知らないけど、

本当に忙しい。



写真、取材、収録、etc…。




見たとおり、研修かねて付いて来てる

こっちだって、相当参ってるってのに…。









「よっ!

参考になってるか?」




なんて、余裕綽々で、私に話し掛けてくる。








私は、この一週間、最低限の事以外、

会話をしていない。


無視し続けている。。。







今までは、苦笑いして去っていたけれど、

さすがに、今度ばかりかは聞いて来た。







「お前なぁ。

なんだよ…。

この一週間、ずっと無視してんだろ。

さすがの俺でも飽きれたわ…。


俺、お前になんか恨まれるようなこと

したっけ…?」










えぇ。




しました!


しましたとも!!












…なんて言えたら、

どんなにいい気分だろう。





私は、そんな衝動を抑えながら言った。









「…悪かったな。

こういう性格なんだ。」









この一週間で随分、声を低くしたり、

男っぽく話すのに慣れて来た。



(バレない程度には、成長した。)







まぁ、まだ人と目を合わせて話す余裕は、

無いけれど…。







「はぁ?

なんだよ、それ?

…まぁ、いいけどよ。」







梓は、苦々しく笑った。











…なんだ?



コイツ?




私がちょっと、車に乗り遅れそうになった時は、

あんなに怒ってたのに。





…こっち(美紀)こそ、

この人に恨まれるようなこと、したっけ??







私がじっと見てると、梓は

突然、言った。




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