Voice
原因は、明白である。

遠夜は、ベルの正体を隠す事で、必死なのだ。


そう言ってれば、遠夜もそのことで悩んでたなぁ…。

お互いで悩んでるんだ…。




こりゃあ、大変だ。

すると、梓は、グッと拳を握って、言った。




「…したら、突然、この間。

なんだか知らねーけど、

遠夜が、打って変わるように、元気になったんだよ。




…そう、あの”美紀”とかいう、女が来てから!!



あぁ!!

ムカつく!!

遠夜の事は、俺が1番解ってんだよ!



俺が、これから、悩み聞いて、

『元気出せよ!!』って、言ってやって…。



男同士の、友情を取り戻そうとしてたのに、

あんな、取り柄もない、女一人が、遠夜を笑顔にするなんて!



アイツ…勝手に横から入りやがって…気に食わねぇ!!」




少しムカッと来た。



…あぁ、何となくわかった気がする。




つまりだ。

梓の知らぬ間に、

私と遠夜がすっごく仲良しになったから、

ヤキモチ、やいてるんだぁ。



私(美紀)に!!


そんなので、私は、冷たく八つ当たりされてたんだ。



…ガキだ。

コイツ、まるっきりガキじゃん!!!



私が、イライラしていると、

梓は、ため息をついて言った。




「…この曲。

遠夜に見せたら、すっげぇ気に入ってて…


絶対、売れるって言ってくれてさ。




だから、気合い入れてたんだ…。

絶対に成功させる!!ってな。」




梓は、譜面を丸めて握っていた。



へぇ…。やっぱり、凄く嫌なやつだわ。(笑)




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