Voice
部屋の近くまで行くと、

キャサリーの下手なピアノが聞こえてきた。




もう、かれこれ、10分も経つと言うのに、

頭の触り部分も、全く弾けていない様子だった。

…これはひどい。。。





私は、深呼吸をして、

勢いよく、部屋のドアを開けた。








"バン"←ドアの音。





そこにいた梓や、社長達が、

一斉に私を見て、固まった。












…うわぁっ!!しまった!!

考えて見れば、私、ドレスなんか着ちゃって、

めちゃくちゃ派手な格好してるんだっけ。

みんな、ビックリしちゃってるよ…。

は、恥ずかしい!









…えーい!

もう、後戻りは出来ないぞ!!




グッと腹に力を入れて、ピアノの方へ歩いた。



私が、ピアノの前に行くと、

社長は、かすれた声で聞いてきた。





「ナ…いや…美紀ちゃん?

その格好は…どうかしたのかい?」





私は、社長を見て、何か言い訳しようとした

…のだけど、恥ずかしくて何も言えなくなり、



とりあえず、ピアノの上にあった譜面を、乱暴に取った。






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