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19.『愛しいあなたへ』撮影start!!


○19○







「美由なら出来るよ!

あんなに上手なんだもん!」






隣りにいた

名前も

知らない女の子がそう言った。




私は、

顔を歪めて言った。





「無理だよ。私なんか…。」






しかし、

留めを刺すように、

周りにいた人達が言って来た。





「美由ちゃんしか出来ないって!」




「そうだよ!お願い!」




困ったなぁ。

と苦笑いすると、


教卓に立っていた遠夜基、

クラス委員の西島が言った。





「それでは、

話をまとめます。


来月の聖夜祭でみんなで歌は、

美由ちゃんに

作曲してもらう!

…という事でよろしいですか?」





『はーい』






そ、そんな。




なんて思いながら

私は、机に俯せた。






――――――――――――――




―――――――――





……。







「カーット!!」



白鳥監督がそう言うと、


周りの

緊張が一気に切れて、

ザワザワと声がした。




周りの事を言えない位、

私自身も少し胸を撫で降ろしたりする。


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