Voice

「うわっ!や、止めてよ!」




急いで振り払おうと

手を伸ばすと、

逆に腕を掴まれた。






「お前…凄い熱だぞ。」




確かに、心なしか、

梓の手が

冷たい気がするけど…。






「…この位、全然平気。」







自分の体は

自分が一番分かってる。






「馬鹿言って…。

こんなに、熱いんだぞ?!

正気か?」






…はぁ。


遠夜と言い、梓と言い…。






「大丈夫!

本当に無理だったら、

早めに早退するし。」





お節介なんだから。






「そんな事言って、

手遅れになったら、

どうすんだよ!

早くマネージャーに言って、

お前は休め!」






「…梓、

私を留年させるつもり?

本当に大丈夫だから。

頭痛くなるから、

黙ってて。」






その時、

タイミングよく、



「遅くなってすみません!」と、

運転者が乗って来た。





梓は、

舌打ちをして

黙ってしまった。




学校に着くまで、

黙っていてくれたけど、



時々、

私を見て、

ため息を吐いていた。






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