Voice


「でも、ちょっと、違うな。」








えっ?





「きっと、

世界中には

夢を持っても

この仕事がやりたくて

出来ない人が大勢いる。



その中で、

俺達が歌えているのは、



才能や努力、

そして運…。

その全部が、

確かに必要かもしれない。





…でも、

1番は

応援してくれる人が

いるからだと思わねーか?」







「応援してくれる人…?」





「あぁ。

ファンや友達、家族。

俺や遠夜。



美紀には、

味方が

…応援してくれる奴が

沢山いるだろ?



そいつらが、

美紀が

倒れて

苦しい思いをすることを

望むと思うか?




そんな顔、声を、

みんなに見せられるのかよ?」









"お前は、誰の為に歌ってんだよ?"






「だから、

美紀のペースで、いいんじゃね?」






梓はそう言って、

私の頭をくしゃっと撫でた。







梓と保健室で話をした後、

家に帰って、

久しぶり、長い時間、ベットに横になった。




あの後、

驚く位に体が軽くなって、熱も下がった。






認めたくないけど、

梓のおかげ。





多分、

最近の私は

とにかく変わらなくちゃって、

もがいてる自分がいて、


そして

どんどん追い詰めてたんだ。







「美紀のペースでいいんじゃね?」






急がなくていいのかな?



ゆっくりでいいのかな?




梓の言葉で

気持ちが軽くなった。






無理せず、

努力していけばいいんだよね。




誰だって、

最初は初心者なんだから。




今、

私が出来る事を

やっていけばいいんだよね。




…久しぶり前向きになれたかも。






明日、

梓にお礼を言わなきゃ。



…梓、ホントに

ありがとう。




< 361 / 369 >

この作品をシェア

pagetop