Voice
…デュエット?











その言葉を聞いた時、昨日の事を思い出した。





不幸の中、一瞬で輝いた、あの時間。





もっと、一緒に歌いたいって、思ったけど…。











「…でも、あれだけ、辞めたがってたじゃない。

私とデュエットを組んだら、

もっと、辞められなくなるんじゃない?





それでもいいの?」







真剣に、聞いた。








すると、遠夜は頷いて、言った。






「…確かに、ずっと辞めたかった。

『ベル』は肩書き上、女だから、

人と話す事も、ほとんど禁じられ、

梓にまで、正体を隠さなきゃいけないんだ。

辛いだろ?そんなの…。




でも。




やっぱり、俺は、歌うことが、


一番好きなんだ。」








遠夜は、笑顔で言った。















…歌うことが、一番好き…。






私も、何より歌うことが、

一番好きなんだ。


あの時も、迷ったけど、


やっぱり歌っていたし…。











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