Voice
「…だよなぁ。

そう思うだろ?

あの時、俺、ツイてなかったんだよな…。」






「ツイてなかったって?」




 聞き返すと、

遠夜は、苦笑しながら、頷いた。






「ああ。

ウチの事務所って、当時、男性歌手は、

メチャクチャ売れてたのに、

女性歌手が全くいなくってさ…。


たまたま、地声が高かった俺に

社長が目を付けて…。


半分騙されてデビューしたんだ。

…俺も焦ってたしさ。」

(…ハハハ。やはり社長が原因か…。)







半分理解したけれど、それにしたって…。

と私は、首を傾げて聞いた。






「焦ってたって、なにをそんなに?」






遠夜は、空を見上げて、頷いて言った。





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