ふたりだけの特別な絆

「あっ、陽菜!おはよ。」

出てきたのは、ダークグレーのスーツを身に纏った悠哉さん。


いきなりの遭遇に、私は思いっきり驚いてしまった。


「わわわっ!悠哉さんじゃないですか!お、おはようございます!!」


アタフタしながら挨拶をすると、悠哉さんは腕時計に視線を向けた。


「珍しいな。やけに早起きじゃん。」


「なんだか、目が覚めてしまって…。そ、それで…水でも飲もうかと思って降りて来たんです。悠哉さん、今日は…こんなに朝早くからお仕事なんですか?」


いつもなら、私よりも後に家を出るのに…。


「今日、出張の会議なんだ…。隣町の会館が遠いから、余裕をもって早めに出るんだよ。」


「そ、そうなんですか…。」


そう言えば、前に…出張があるって言ってたなぁ…。


今日だったんだ…。



「俺、そのことを昨日の夕食の時、陽菜に話したんだけど、今のリアクションからすると、話…聞いてなかったみたいだな。」


私のおでこを、ツンと指で軽く突いた悠哉さんはフッと笑った。


しまった…。


私ってば、自分の気持ちの高ぶりを抑えることばかりに神経を集中させていて、大事な悠哉さんの話を聞いてないなんて…。


なんたる失態…。



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